• 対談

【対談企画】エネルギークリエイティブ渡邉代表×京都ハンナリーズ内海ディレクター

 

スポーツを通して磨いた力を、
社会との関わりや環境への意識に

「エネルギークリエイティブ株式会社」(以下、エネルギークリエイティブ)は、2020・2021年シーズンからゴールドパートナーとして「京都ハンナリーズ」(スポーツコミュニケーションKYOTO株式会社。以下、ハンナリーズ)をサポートしています。昨年選手生活にピリオドを打ち、現在ユース統括ディレクターとして活動しているハンナリーズの内海慎吾氏とエネルギークリエイティブの代表取締役・渡邉徹氏に、環境、教育、そして未来についてお話をいただきました。

エネルギークリエイティブとハンナリーズの出会いは?

渡邉:私が太陽光発電の事業で、このエネルギークリエイティブを創業したのが2015年。それから4年後の2019年になって、太陽光で発電した電気をFit制度下で売るのではなく、自ら利用する「自家消費」が注目されるようになりました。その頃から「持続可能」「SDGs」という言葉がメディアでも盛んに取り上げられるようになり、SDGsのマークを見かける機会も増えてきたように思います。
そんなある日、飲食店で食事をしていると、私の胸につけていたSDGsマークのバッジを見た店員さん、おそらくアルバイトの大学生かなと思うんですが、「それ、SDGsのマークですね」と話しかけてくれました。「興味おありですか?」と尋ねると「ある」と。何気ない会話だったんですが、若い世代も環境問題に関心があるんだなと感じました。ですが調べてみたら、京都議定書が1997年に採択されてから20年、その後は京都から環境問題に関する発信があまりされていないんです。
もっと環境問題について京都から発信してかないとと、焦りのようなものを感じていたときにハンナリーズを紹介していただいて。若者にも人気があるハンナリーズとなら、環境問題や弊社の取り組みを幅広い年代に発信していけるのではないかと感じたのが最初です。
バスケットボールに興味を持っていらっしゃる方って多いですよね。若い人だけではなく、私と同世代や目上の方も、試合を見に行ってみたいとおしゃっていただくことがあります。ファンの年齢層が幅広いことは、パートナーになって実感しています。

内海:学生時代、バスケットボールをやっていたという方は多いですからね。

渡邉:そうですよね。でも私もパートナーになる前には、プロのバスケットボールの試合を見る機会は多くなかったですし、今でもどこでやっているのか知らない人も多い。そういう人たちにハンナリーズの存在を知らせる一つの窓口に、弊社がなれたらいいなと思います。
実は、会社で私の席の後ろにユニフォームを飾っているんです。わざとWEB会議のとき、見えるように(笑)。会議が始まると、後ろのユニフォームを見た方が、「それって……?」とお話を振ってくださる。それでスポンサーをつとめていることを話すと、「私もバスケットボールをやってたんです」とか、「試合に興味あって」と話が弾みます。些細なことかもしれないんですが、ユニフォームを飾ってるだけでそういう会話が生まれるんですよ。

内海さんは、昨シーズンに現役を引退し、現在はユースチームのディレクターとしてご活躍ですね。

内海:引退セレモニーをメインパートナーとして行っていただいたのがエネルギークリエイティブでした。ここ数年は、コロナ禍でシーズンが途中で中止になったり、試合をお客さんにお見せできなかったりすることもありました。ですが、2022年はシーズンの最後までやり抜くことができ、ファンの皆さんの前で引退のご挨拶ができたことは非常に幸運でした。素晴らしい機会をいただいたと思っています。

渡邉:引退セレモニーは、ハンナリーズのファン感謝祭のなかで行っていただきました。私たちにとっても、パートナーになって初めてのイベントで内海さんの引退の花道を一緒に作ったのは思い出深い出来事です。その他にも選手や参加者の皆さんに自転車をこいで発電する競争をしていただきました。誰が早く電気をつけられるか!って。体感して、楽しみながらエネルギーについて考えてもらえるようなイベントでした。

内海:参加した人が楽しんで理解できたのは良かったですよね。私は引退後に13歳から18歳の子どもたちが所属する、ユースチームの事業に携わり、活動報告などで渡邉代表とお話しする機会を得るようにもなりました。

渡邉:ユースチームのディレクターをされるということで、ますます支援ができたらなと思っています。子どもたちに私たちのようなパートナー企業や環境問題ってどのような存在なんでしょう?

内海:私も、今のユースチームの子どもたちのように、中学・高校の部活動でバスケットボールをしていました。しかし、当時は環境や社会の問題に触れる機会はあまりありませんでした。いろいろな人に支えられて、バスケットボールをしていることを感じたのはプロの選手になってから。そして自分が身につけた競技力を、社会をより良くするために使いたいと考えるようになりました。
このことは、サポートしていただく企業の方と話をするようになって、それまで以上に実感するようになりました。競技に打ち込むだけでは、理想とするプロバスケットボール選手にはなれない。そのことを子どもたちには伝えていきたいです。

社会に対する意識はどのように醸成されていったんですか?

内海:プロになって日が浅い人は、「バスケットボールがうまかったからプロ選手になれた」という感覚だと思います。私も新人の時は社会のことなんて意識せず、バスケットボールに打ち込むだけの日々でしたから。プロとして15年活動していくなかで、少しずつ、ファンの方々やパートナー企業から支えてもらってバスケットボールができるということが分かってきました。

渡邉:社会と関りながら、社会の一員として選手の活動をしているということですね。

内海:そうなんです。ですから、いただいたものをどうやって社会に還元できるのだろうかと、選手を続けながら考えていました。このことをユースチームの子どもたちには、プロになる前から意識してもらえたらいいなと思っています。目指しているのはもちろんバスケットボールがうまくなること。それに加えて、バスケットボールを通じて何を生み出すことができるのか。これを考える場にできたらいいですね。

渡邉:今の子どもたちの環境は、内海さんが10代の頃とは違いますか?

内海:違うと思います。プロリーグがスタートして、日本各地にプロチームができて、プロの試合を見るチャンスが増えました。私は北海道出身ですが、小学生、中学生の時には北海道にチームはありませんでしたから、年に1~2回、トップチームが試合に来るのを見に行くことしかできなかった。今は身近にチームがありますので、もっと頻繁にトップ選手のプレーを見ることができます。また、プロチームにユース世代の下部組織ができ、プロの練習や取り組み姿勢を間近で見ることもできます。
試合以外の部分を見ることができるのは大きな刺激になるでしょう。うらやましいです。

渡邉:エネルギークリエイティブは、子どもたちを含めたハンナリーズの活動を支えている立場なんですね。

教育において、スポーツが果たす役割とは?

渡邉:人を育てるって難しいですよね。SDGs、環境問題って大人だけでやることではないですし、子どもの頃から意識を育てることが大事です。私たちが幼いときも環境問題って言われていたと思うんですが、今ほど明確な目標を掲げてはいなかった。世界的に問題があることは分かってはいましたが、さほど印象が強くなかったというか。ですがここ数年は、中学や高校の文化祭でSDGsを題材にしている催しも見かけます。

内海:子どものうちから環境問題への取り組み意識してもらうため、ユースの育成プログラムにも取り入れていく必要はあると思います。彼らがそういった情報に触れる機会を作っていきたいです。

渡邉:SDGsはすでにたくさんの人が知ってくれています。ですから次、もう一段階上げていくには何が大事なのかというのは、太陽光発電を扱っている私たちもそうですし、内海さんのようなスポーツ関係の方々も参画して、発信し続けてほしい。
SDGsって、どうしても環境にだけフォーカスされます。もちろん大切ではありますが、それだけじゃない。持続可能というのはどういうことなのかを、いろんな分野・視点で考えることが必要なんです。次の世代がユースに上がってきたときに、SDGsが化石扱いにならないように。

内海:そうですね。スポーツをしていると、自分で課題を見つけて解決する力が求められるんです。自分に足りないものは何かと考えて、足りないものを補うためには何が必要なのかを考える力。そしてやってみて、うまくいったか、いかなかったか見極めて、反省する力。さらに改善しようという力。子どもたちにはスポーツを通じてそういった力、生きていく力を養ってほしい。そしてこの力を、スポーツ以外、勉強や社会活動でも発揮していってほしいと思います。

渡邉: 持続可能ということを考えると、内海さんのように、選手生活を終えて引退して指導者になって、そしてまた新しい人が入って、いつかその人が引退してと、スポーツ界だけではないのですが、継続していく、循環していくことが重要ですよね。持続可能というのは、どれだけ「循環」できるかということにかかっている。それがその業界、ゆくゆくは世界の発展につながると思います。
自分のことだけを考えていては、人間として成長しないし、世界の発展もない。それは私たちの会社、エネルギークリエイティブとしても同じこと。自分たちの会社だけが儲かればいいのではなく、環境や会社が持続可能であること。そのためにはどうすればいいか。そういった意識が重要です。
スポーツと環境問題、そして経営や経済はそれぞれ違うジャンルの話に見えますけれど、根本的には教育が大切であるという部分で重なっていますよね。

100年後の未来について、どうあるべきだと思いますか?

渡邉:創業時からの事業である「再生可能エネルギー」、ハンナリーズに出会ったことで「教育」、それに加えて、これから私たちは「食」もテーマを据えて、3つの柱で会社としてやっていこうと考えています。日本は島国で、エネルギーと食は、輸入に頼っています。そのうえ災害も多い。台風が来たときに、電力網が遮断されて、山間部などで長期間、停電してしまう地域のニュースも目にします。現在は大きな発電所で発電して、それを皆さんに配っている形なのでそうなってしまう。地域でコミュニティを作って電気を融通するスマートグリッドやマイクログリッドを活用すれば、そういう停電は回避できます。そして私はさらに、そこに食を付け加えたいんです。

内海:具体的に動き出しているんですよね。

渡邉:再生可能エネルギーでつくった電気を使ってシイタケを育てることに今年からチャレンジしています。 ちょっとストレートですが、“儲かる農業”を展開したいと思っています。

内海:100年後……なかなか想像がつかないですけれども、私はバスケットボール、スポーツが人生をどう豊かにするか、自分の健康をどう向上させていくかを、今後も考えていきたい。プロからは、私のように競技人生を終えて、後進の指導に当たるような選手がでてきてほしい。そして次のスポーツを楽しむ選手を育ててくれる。そんな循環が連なった100年後になってくれたらと思います。

渡邉:今日、内海さんのお話をお聞きしてて、プロスポーツ選手の葛藤が伝わってきました。指導者になって次の世代に自分の経験をどう伝えるか。自分が当たり前のようにできたことを、できない子もいる。そのときどう指導するか。プロの選手にアドバイスと言うことのほどのことでもないですが、私は会社経営をしてきて、やはり自分の信念をもって想いを伝えることが大事だと感じています。同じフレーズでも気持ちが伝わるかどうか変わってきますから。

内海:今は、食に関して特に熱く語っておられるんですよね。

渡邉:はい。エネルギーを軸にした農業に進出。これに情熱を注いでいます。まずはマイクログリッドの形で、地域コミュニティでエネルギー供給をする。さらにその先に、地域で働く若い人たち、参画してくれる人が必要になる。参画するには、生活できることが必要です。今度はそのために、儲かるビジネスとしての農業がある。そんな体制を整えていきたい。しかも、ただお金があればいいのではなく、自分が住んでいる環境や人間らしさについて考えることも大切にしたい。これを繰り返すことによって、地域を活気づけられると思います。いろいろなビジネスをやっていますが、どの事業でもSDGsの観点で捉えることを意識しています。その局面、局面で、ぜひハンナリーズにもご協力いただけるとうれしいです。

内海:バスケットボールの競技だけ考えたら、絶対にシイタケには出会わないと思うんですよ(笑)。自分たちを支えていただいているパートナーであるエネルギークリエイティブを経由して、環境や食の問題、社会との繋がりが見えてくる。これがプロスポーツ選手の在り方だということをユースの子たちにも伝えたいです。

渡邉:私たちがこういうチャレンジをするのも、ハンナリーズのおかげです。太陽光というカテゴリだけで仕事をしていたけれど、ハンナリーズと出会って、いろいろな発信ができることが分かって、次何しようと考えて辿り着いたのが農業、シイタケでした。この先また、この出会いからさまざまな試みが生まれてくるといいですよね。